消化不良だけれども、作ってみた。
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【味方】
白々と夜が明ける。
のそりとした歩みで我が家を目指しながら、噛み殺せなかった欠伸を漏らす。
「(事件解決してすぐに取調べたぁ…そこまで目ぇ付けられてたってワケね)」
来た道を振り返り、遥か後方に小さくなった真選組屯所を見遣る。
見廻組局長のさぶちゃんこと、佐々木異三郎から潜入捜査を依頼されて。
真相に迫れば、真選組も絡んだ面倒くさいことこの上ない争いへと巻き込まれて。
そこで白夜叉の名を出した。
何も救おうとしない、救おうとしても身内のことしか考えてない警察どもに味方するくらいなら
ば攘夷志士で結構。
ただ過去はともかく、現在でも攘夷活動を行っていると疑いをかけられるのは心外だ。
その点はきっぱり否定してやった。
「(とはいえ、しばらくは山崎あたりが見張ってそうだな。…ったく、ストーカーはドM女だけで勘弁しろっての)」
一気に憂鬱さが増して、朝焼けの空を睨む。
と、そこへ。
「銀時」
背後から名を呼ばれる。少し前から気配を感じてたから、別に驚きはない。
「何だヅラ」
「桂だ。奴らとは相変わらず懇意にしてるようだな」
「おまえも仲良くなりてぇなら改めて紹介してやるよ。事情聴取されろよ。…全部知ってて言ってんだろ」
このタイミングで現れたということはつまり、そういうこと。
「知恵空党の過激化およびテロ活動の画策については、俺も懸念していたところでな」
悪ガキどもが悪さするようなものだが。
苦笑じみた可笑しそうな笑みを浮かべる。
「後輩か」
「建前だ、建前。つーか成り行きだ」
あの状況では仕方なかった。…はずだ。
「その気があるのなら、俺はいつでも大歓迎だ。ぜひとも我が攘夷党に…」
「却下」
「やはり高杉の方がいいのか?いずれは鬼兵隊のツートップで過激に大暴れか!」
「何でそうなるっ!」
「…昔から、俺と高杉の意見が分かれると貴様は最後には必ず奴の味方をするからな」
眉をひそめて不満そうに言い放つ。
「それとはまた話が違ぇだろーが」
「違わんさ」
「俺はどっちにもつく気はねぇよ」
「そのくせすべてが貴様の味方になる。厄介というか、敵わんな」
何だそれ。
「……期待されてんの?」
「だろうな。俺とて本気で斬ろうとは思っていない。今はまだ…」
小さく呟かれた語尾は耳に届くことなく風に乗って消えた。
俺は明るくなった空を再び仰ぎ見る。
「おまえだって知ってんだろ」
あの悪ガキは一筋縄じゃいかねぇぜ